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上村 文乃

上村 文乃 かみむら あやの

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  1. 日本チェロ協会会報 第55号 (2020年4月14日)より

1. 近況を教えてください
ドイツに1 年、スイスに6 年、計7 年ヨーロッパに留学しています。元々日本で活動したいという思いが強くあったので、こんなに期間が長くなるとは思っていませんでした。勉学に励む事、それは人前に立つ事とはまた違った角度で自分を見つめることで、追求すればする程に己の未熟さを痛感する日々でした。モダンチェロでのカリキュラムを完全に卒業し、その直後から新たに古楽科にて学び始めた事も、これからの人生を考えた上で私にとって必要不可欠な決断でした。留学中涙が止まらないほど寂しさや苦しさを感じ、耐えられないと思った事もありましたが、時間と共に心を落ち着かせ、今年に入ってから物事をとてもポジティブに受け止められるようになり、今夏の完全帰国を前になにか自分の芯が定まったように感じます。

2. チェロを始めたきっかけを教えて頂けますか?
元々両親がクラシック音楽好きで、3 歳からピアノを始めました。千葉にある桐朋の音教に、当時まだ学生でいらした熊澤雅樹先生と、井上雅代先生が交代交代で来て下さり、よちよちチェロの道を歩き始めました。そののち熊澤先生の師匠である毛利伯郎先生の御宅に伺うようになり、桐朋へ入学。数年後には堤剛先生に出逢い、私の道は瞬く間に広がっていきました。私は女性にしては身体的に大きいですし、なにより私はチェロが大好きになれたので、チェロを与え、支えてくれた両親にとても感謝しています。

3. 先日のコングレスの感想をお聞かせください
素晴らしい会でした!なにより、同じ楽器で集う事は数少ない機会でした。桐朋を卒業して以来なかなか会えなかった友人や、大変ご無沙汰している先生方、留学前に「チェロの日」に出演させていただいたときお声かけ下さったチェロ愛好家のみなさま、東京以外の地で出会った方々、沢山の方々のお顔を拝見して、7年日本を離れた私にとってなんとも言い難い大切な時間でした。また、以前カサドコンクールで演奏を聴いて下さったヤン先生にその時以来の再会を果たしたのですが、舞台裏ではっきり“あやの!”と名を呼んで下さった時は、目が飛び出るほど驚きました。私は12 人のチェロアンサンブルに参加させていただきました。本当にチェリストって良いなと思う瞬間があって、世代を問わず音楽の為にアイデアを出しあえる和やかな空気がそこにはありました。音楽に身を捧げる行いを皆で分かち合えた気がします。先生方の深い懐に包まれて、若者世代にとって大変光栄な時間でした。そしてなにより感動したのがキッズたちのアンサンブルでした。拝聴していてとても胸が熱くなりました。私も更に身を引き締めて頑張ろうと思いました。チェロを愛するという強い念があのサントリーホールに解き放たれました。

4. 今後どのようなチェリストとして活動していきたいですか?
私はチェロという楽器が大好きです。それを辿っていくと、音楽が大好きになり、そして芸術に興味を抱くようになりました。手繰り寄せていくと、芸術は社会に、人に繋がり、人は自然とともにあることを強く感じます。この世のなかに繋がっていない事は一つもないと思うのです。音楽もそれが何であれ、なにか光るもの、強い意志、伝えたいという気持ちがあれば、どんな方にも聴こうと思って頂けるのではないかと思っています。人は自分となにか共通項を見出す事によって、関心を持つと思うのです。ゴーギャンの代表作 “私たちはどこから来たのか?私たちは何者か?私たちはどこへ行くのか?” ふとしたときにこの言葉が私に問いかけてきます。今後は、音が時・国・人種を超えてのコミュニケーションとなり、心に寄り添う音を奏でられる様なチェリストになりたいです。またどんなに歳をとっても無知を恐れず、知る事に貪欲でありたいと思います。今年の夏で留学生活に終止符を打ち、東京に完全に帰るので、張り切って頑張りたいと思います!!プライベートレッスンも行なっていきたいです。私に出来る事があればお手伝いさせて下さい。