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堤 剛

©Naruyasu Nabeshima

堤 剛 つつみ つよし

一般財団法人日本チェロ協会 理事長

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  1. 日本チェロ協会会報 第51号 (2018年4月27日)より

  2. 1. 近況を教えてください

  3.  3月下旬には、サントリーホールと提携関係にある、シンガポールのヨン・シュー・トー音楽院(シンガポール国立大学音楽学部)とサン トリーホール室内楽アカデミーの協働プロジェ クトのために現地を訪問しました。室内楽アカ デミーのフェローと音楽院の生徒による共演や、私はマスタークラスを行ってきました。お互いに非常に良い結果が生まれ、サントリーホールそのものが色々なかたちで広がっていく ことはもちろん、室内楽アカデミーも注目されており、大変意義のあることを行えているのだと思っています。5月末には韓国・ソウルでチェロ・フェスティバルに招待されており、6月2日(土)から開催される「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン」にて、堤剛プロデュース公演や、ピアノの小山実稚恵さんとのデュオ等に出演します。

 

2. チェロを始めたきっかけを教えてください

 6歳の時、スズキ・メソード(当時は才能教育研究会)でヴァイオリンを始めました。2年くらい経った頃、鈴木政吉さん(スズキ・メソード創設者・鈴木鎮 一さんのお父様)が1/2サイズのチェロを作り始めたんですね。父が、当時新橋にあったNHKに勤務していた(東京放送管弦楽団)関係で、新橋の楽器店で勧められ持ち帰り、試しに弾いてみたところ、こちらの方が合うのではという軽い気持ちで始めました。父はコントラバスを弾いていましたが、当時、チェロの大先生である大村卯七先生についていたこともあり、本当は自分もチェリストになりたかったようです。私の楽器の変更についてもすぐに了承してくれました。私自身、チェロへ変わったのには「父親もチェリストを目指していた」が背景にあるのではと思っており、父の影響は大きいと思っています。そして母は小学校の教師でしたが声楽家でもあり、この両親からの指導の言葉が、今考えるととても重要であったと思います。
最初の1年は父に手ほどきを受け、それから10年間齋藤秀雄先生に師事いたしました。スズキ・メソードの教則本についているCDの演奏は、実は私が弾かせていただいています。喜んでお引き受けしましたが、このCDは教則本に必ずついていますので、今や世界中、何百万枚と世に出ているのではないでしょうか。スズキ・メソードの中では「CDのおじさん」と呼ばれていると聞いています。

3. 第8回チェロの日のご感想をお聞かせください

 とても温かく素晴らしい雰囲気でした。一般財団法人になるということもあってか、全体的に前向きな印象を受けました。加えて変な言い方ですが、追い風が吹いているように感じます。皆さんが良い交流をしていらっしゃる様子に、チェロをやっていてよかったと改めて思いました。チェロ・オーケストラでは、年々演奏の水準があがってきていると感じられ、これも指揮、指導をして下さる山本祐ノ介さんのおかげと感謝しています。

4. プロのチェリストを目指している学生や若いチェリストに望むことはありますか?

 大きな意味で自分を試せることをやっていただきたいです。音、音程、音楽を創るという作業が、以前より希薄になっていると感じます。チェロを弾くことは、アナログかもしれませんが、人間的なことと思いますし、自分に厳しくなければなりません。大変だけれどそれを楽しみとして、人生に活かしていけるというのは素晴らしいことだと思います。ポジティブな視点を持って努力していってほしいですし、究極には自分のものとして確立し、やがては広い意味で社会に貢献してもらいたいと思います。それくらいの気概で練習していくと、音楽は奥が深いものですから、色々極めることができるのではないでしょうか。チェロは死ぬまでのチャレンジで、ずっとやりがいがあり、それで世の中を豊かにできるならば素晴らしいと思っています。

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